境界トラブルが「感情的」になってしまう理由

太古の時代より「なわばり争い」はありました。
土地は耕作を行うための「命の源」であり、「生きるための基礎」だからです。
時代が変わっても「なわばり争い」は終わりません。
戦国時代もそうですし、今なお終わらない戦争も、根底には「領土」の問題が絡んでいます。

そんな「なわばり紛争」について考えていきたいと思います。

「損得」や「勝敗」に囚われすぎている

多くの近隣関係者と接してきて、境界トラブル当事者の特徴をひとことで言い表すとすると、

『「損得」「勝敗」に囚われすぎている方』

ということが言えます。

お気持ちはすっごくよくわかります。
高価な費用で苦労して購入したものです。
境界線が少しでも増減すれば、その結果に一喜一憂しがちです。

では、なぜ「勝敗」にこだわってしまうのか?

それは、他者から「認められたい」という心理が働くからです。

人って、些細なことでも自分のことを
「わかって欲しい」
「理解して欲しい」
と思っています。

心理学者のアブラハム・マズローは、このような欲求のことを「承認欲求(esteem)」とし、欲求のひとつとして唱えました。

それが叶わないと、「怒り」や「トラブル」の元になります。

なので、本来は他者から認められることを願うのではなく、自分で自分を褒める習慣を身につけた方が、日常の幸福感を味わいやすいのです。

そうすると、欲求が満たされるので、「勝敗」や「損得」といった他者を軸とした執着を手放すことができるのです。

対人距離を保つことができますか?

土地のなわばりとは、
お隣さんとの境界線で囲まれた範囲のことです。

こころのなわばりとは、
「パーソナルスペース」のことです。

「パーソナルスペース」とは、
個人個人が持っている目には見えない「なわばり」のことです。
満員電車を「不快」と感じる人は多いですが、
これは、自分のパーソナルスペース(なわばり)に他人が侵入しているからです。

つまり、対人距離が近い!
ってことです。

アメリカの学者、エドワード・ホールによると、
知らない人同士が会話するのに適正な距離は
「1m20cm~2m」ほど保つ必要があるそうです。

土地のなわばりと、こころのなわばり(パーソナルスペース)は同じ

「対人距離を保つ」とは
「相手のなわばりを尊重している」
ということです。

と、同時に、
「自分のなわばりも主張している」
ということです。

これは、「土地」にもいえることです。

「相手の土地のなわばりを尊重している」とは「自分の土地のなわばりを主張している」
ってことなんです。

境界トラブルは「感情的」なところが大きい

測量業務を行っていて感じることがあります。
それは、お隣さんと土地境界線で揉めてしまうのは
「感情」が大きく占めるケースが多いのです。

実際に「嫌がらせ」を受けたり
嫌がらせではないのに、「嫌がらせだ!」と捉えてしまう勘違いだったり…

相隣同士の「パーソナルスペース」、つまり
こころの「なわばり」も侵害し合っている
ってことなんですね。

まとめ

僕が思う「なわばり」とは
自分も他人も尊重することができる距離感です!!

お互いの距離感を程よい位置に置けるかどうか。
そんな「測量力」が大切なんですね。

「損得」や「勝敗」に囚われないことが、他者と心地よく過ごせるスタンスでもあります。

人間関係は「ドッジボール」ではなく「キャッチボール」

お互いに快適な距離感を保ち、争いのない健全なライフスタイルを構築して頂きたく願っております。

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